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物損事故の損害賠償

交通事故で、自動車が破損したり、建物などの施設が壊された場合を物損事故といいます。

物損事故は、自賠法の適用がありませんので、加害者(の加入損害保険会社)に対して,民法709条等により損害賠償請求することになります。

ただし、医師が身体の機能を補完するために必要とみとめた義肢,歯科補てつ,義眼、義歯、眼鏡(コンタクトレンズ含む)、補聴器,松葉杖等の製作,補修,再調達については,自賠責保険の対象とされ,その必要かつ妥当な額の賠償が認められます。

また、着衣や履物,装具などは判例上、人身損害として認められていますが,高額なものは,否定される可能性があります。

1.修理費

自動車が破損した場合、物理的に修理が可能で、修理費が自動車時価+買替諸費用以下であれば、その修理費が損害となります。

例えば、自動車の時価が50万円で、修理費が30万円だとすると30万円の賠償しか認められないということになります。

2.買換差額

自動車が破損した場合、物理的に修理が不可能か可能であっても修理費が、「自動車時価+買替諸費用」を上回る場合、事故時の自動車時価から、故障車を売却した差額について賠償が認められます。

3.自動車時価の算出方法

(1)新車登録直後~1ヶ月以内の自動車
   減価償却定率法で時価を算出する方法があります。

   一般の乗用車の法定耐用年数は6年です。定額法で減価償却した場合、償却率は
   年0.167となり、1ヶ月に0.0139減価します。 

   例:新車価格100万円が1ヶ月経過すると、
   100万円×0.9861=986,100円になります。

(2)新車登録後1ヶ月~1年まで自動車
   中古車情報誌やインターネットの中古車情報等を利用することや、減価償却定率法で
   時価を算出する方法があります。
   一般の乗用車の法定耐用年数は6年で、定額法で減価償却した場合、償却率は年0.167
   です。

   例:新車価格100万円が1年経過すると、100万円×0.833=833,000円になります。

(3)新車登録後1年~7年まで自動車
   判例では、オートガイド社の「自動車価格月報」(通称レッドブック)による場合が
   よく見られます。
   国産乗用車、輸入自動車、トラック・バス、2輪車・4輪車別に4冊があります。
   東京の価格を対象にしていること、月報ですので事故月のものでないと若干金額が変
   わります。
   同額が不満である(自車の程度が非常に良い等)のであれば、中古車情報誌やインタ
   ーネット情報によることもできます。

(4)新車登録後8年以上の自動車
   定率法で減価償却した6年後の残価は、新車価格の10%であることから、これによ
   った判例もありますが、判例はさまざまで、中古車情報誌やインタネット情報を利用
   することもできます。

4.評価損(格落ち損)

修理しても、事故歴により自動車の価格が下落する場合は、その減少分を評価損(格落ち)として賠償の対象とするものです。

しかし、損害保険会社は、評価損(格落ち)をなかなか認めませんので、評価損(格落ち)について紛争なることは多くあります。
一般論として、評価損が認められるのは、ある程度の高額車です。
その理由は、高額車でないと、事故歴の有無が車両価値評価に反映すると考えにくいからです。日本車の中古車の場合、事故から数年すると価格が低下しますので、事故歴の有無で価値が下がるということを観念しにくいという実情があります。

評価損が認められる場合は、判例では、「財団法人日本自動車査定協会」の事故減価額証明書どおり認めた例もありますが、多くは、修理費の2割ないし3割を認めるという傾向にあります。

5.代車使用料

交通事故により車両が損傷を受けた場合、修理あるいは買換のために相当な期間、代車使用料が認められます。

(1)代車利用の必要性
   仕事であろうが、送迎のためであろうが認められますが、複数の車両を持っている場
   合に否定した判例もあります。

(2)代車の種類
   同種同程度のものを認めるのが一般的です。ただし、高級外国車の場合で国産高級車
   までしか認めなかったものもありますので注意が必要です。

(3)代車の使用期間
   買換の場合は、買替をして次の自動車が納車されるまでの期間(概ね1か月)です。
   修理の場合は、概ね2週間程度とされるのが一般的ですが、外車で部品調達に時間が
   かかる場合、保険会社に手落ちがあった場合などで1ヵ月程度を認めた判例もありま
   す。

6.休車損

営業用車両について、相当な修理、買換期間中の営業上の損害について認められます。
営業損害ですので、免れた経費は控除する必要があり、また、代替車両がある場合には認められません。

7.車両購入諸費用

自動車が全損になったために、自動車を再調達し、負担せざるを得なかった費用の賠償を認められます。
なお、以下の再調達した際に要した自動車は、旧車と同等価格車を前提とした金額です。

再調達自動車(旧車と同等価格車で計算する)について

調達時の消費税 ○
自動車取得税(時価が50万円以下の車は免税)○
自賠責保険料・自動車税・軽自動車税 ×(事故車で還付手続きをする)
自動車重量税 ×(還付された場合を除き、事故車の分が損害となる)
登録、車庫証明、廃車の法定手数料、ディーラー報酬部分の相当額 ○

8.その他

車両が家屋や店舗に飛び込んだ場合の営業損害等、積荷等が損傷した場合の賠償も認められます。

物損についての慰謝料は、基本的には認められません(例外的に、家屋が損傷され年始年末1か月以上、表玄関にべニア板を打ち付けた状態で過ごしたといった事例で慰謝料20万円を認めた例があります)。

 

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