• 相談料無料
  • 着手金無料

0120-524-589コツジコハヤク

受付時間:9時〜18時【年中無休】

お問い合わせ

ホーム > 判例・事例 > 運転免許取消処分取消請求事件

運転免許取消処分取消請求事件

平成27年9月29日判決言渡
平成26年(行ウ)第332号 運転免許取消処分取消請求事件

主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由
第1 請求
処分行政庁が平成26年4月11日付けで原告に対してした運転免許取消処分を取り消す。
第2 事案の概要
本件は,第一種運転免許(中型自動車免許及び大型自動二輪車免許)を受けていた原告が,普通乗用自動車を運転して横断歩道を通過しようとしたところ,登校中の歩行者と同自動車の左後部とが接触して,同歩行者が加療約6か月を要する傷害を負った事故(以下「本件事故」という。)が発生し,処分行政庁から,本件事故は専ら道路交通法(以下「道交法」という。)38条1項後段に違反した原告の不注意によって発生したものであり,違反行為に係る累積点数が15点に該当したとして,平成26年4月11日付けで,運転免許を受けることができない期間を同日から1年間と指定し,運転免許を取り消す旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,原告は道交法上の義務を遵守していたこと,本件事故の原因はよそ見をして走っていた被害者の側にもあることなどから,本件事故は専ら原告の不注意によって発生したものではないなどと主張して,本件処分の取消しを求める事案である。
1 関係法令等の定め
本件に関係する主な法令等の定めは,【別紙1】関係法令等の定め記載のとおりである(なお,【別紙1】で定義した略語は,本文においても用いる。)。

2 前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)
(1) 原告
原告は,処分行政庁から,平成24年5月21日,第一種運転免許(中型自動車及び大型自動二輪車免許)に係る運転免許証の交付を受けていた者である(甲8,乙1)。
(2) 本件事故の概要
ア 原告は,平成25年11月1日午前8時7分頃,普通乗用自動車(登録番号○。以下「本件車両」という。)を運転し,東京都中央区α×番先の交通整理の行われていない交差点(以下「本件交差点」という。)をβ方面から通称γ方面に直進進行して(以下,この進行方向を「原告進行方向」という。),本件交差点の通称γ方面寄り出口付近の道路上に設けられている横断歩道(以下「本件横断歩道」という。)を通過しようとしたところ,本件横断歩道の中央付近において,本件横断歩道上を原告進行方向から見て左方から右方へと通行していたA(当時8歳。以下「本件被害者」という。)が本件車両の左後部と接触して転倒し,加療約6か月を要する右脛腓骨骨折の傷害(以下「本件傷害」という。)を負った。
イ 本件交差点は,β方面と通称γ方面を結ぶ道路と,δ方面と通称ε方面を結ぶ道路が交差する交差点である。
本件交差点からβ方面(原告進行方向から見て後方)に至る道路(以下「後方道路」という。)は,車道の幅員9.2mで,中央線が設けられている道路であり,本件交差点から通称γ方面(原告進行方向から見て前方)に至る道路(○通り。以下「前方道路」という。)は,車道の幅員5.5mで,中央線が設けられておらず,原告進行方向の逆方向への通行が禁止されている道路であり,両側に幅員2.7mの歩道が設けられている。また,本件交差点のβ方面寄り以外の出口付近の道路上には,それぞれ
横断歩道が設置されており,このうち本件横断歩道の幅員は3.7mである。以上の本件事故現場付近の状況は,【別紙2】交通事故現場見取図(以下「本件見取図」という。)記載のとおりであり,本件車両と本件被害者が接触した地点(以下「本件接触地点」という。)は,本件見取図の〇の地点である。(甲1,乙2)
(3) 本件車両の形状
本件車両は,長さ5.07m,幅1.87m,高さ1.48mであり,前部バンパー先端から運転席までの長さは2.5mである。また,本件車両のハンドルの位置は右であり,ハンドル,ブレーキ等に特に不良な点はなかった。(甲1,乙2)
(4) 本件事故に係る捜査経過等
ア 警視庁B警察署交通課巡査部長C(以下「C巡査部長」という。)及び同課巡査Dは,平成25年11月1日午前8時10分頃,110番通報を受けて,本件事故の現場に臨場し,原告からの事情聴取等を行うとともに,原告を立会人として実況見分を行った。
イ C巡査部長は,本件事故当日,原告に対する取調べを行い,平成25年11月23日には,本件被害者の父の立会いの下,本件被害者からの事情聴取を行った(乙4,5)。
ウ 警視庁B警察署長は,平成25年12月11日,原告を被疑者とする本件事故に係る自動車運転過失傷害被疑事件(以下「本件被疑事件」という。)を東京地方検察庁検察官に送致した。
エ 東京地方検察庁検察官は,平成26年3月19日,本件被疑事件を不起訴処分とした。
(5) 本件処分
処分行政庁は,前記(4)ア及びイの捜査結果等を踏まえ,原告は,平成2
45年11月1日午前8時7分頃,本件車両を運転して,本件交差点を原告進行方向に直進進行し,本件横断歩道を通過しようとした際,本件横断歩道上を左方から右方に通行する本件被害者がいたにもかかわらず,本件横断歩道の直前で一時停止し,かつ,本件被害者の通行を妨げないようにする義務を怠って進行し,もって,道交法38条1項後段の規定に違反した(以下,この違反行為を「本件違反行為」という。)ものであり,本件事故は,専ら原告の不注意によって本件被害者に3か月以上の治療期間を要する傷害を負わせた事故であると認定した。その上で,処分行政庁は,原告が,道交法103条1項5号及び同条7項の規定に該当するとともに,累積点数が15点(本件違反行為の点数2点及び本件事故による付加点数13点(治療期間が3か月以上である人の傷害に係る交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものである場合の点数)を合計したもの)となり,前歴がないことから施行令38条5項1号イ及び6項2号ホに該当するとして,平成26年4月11日,原告に対し,運転免許を受けることができない期間を同日から1年間と指定し,
運転免許を取り消す旨の本件処分をした(甲8)。
3 争点及び争点に関する当事者の主張
本件の争点は,(1)本件事故は専ら本件違反行為をした原告の不注意によって発生したものか,(2)本件処分は,原告の道交法上の危険性の度合いに照らして重きに失するものとして,裁量権の範囲を逸脱してされたものかであり,各争点に関する当事者の主張は以下のとおりである。
(1) 争点(1)(本件事故は専ら本件違反行為をした原告の不注意によって発生したものか。)について
【被告の主張】
施行令別表第2の3の表にいう「交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものである場合」とは,当該違反行為をした者の不
注意以外に交通事故の原因となるべき事由がないとき,又は他に交通事故の原因となるべき事由がある場合において,その原因が当該交通事故の未然防止及び被害の拡大の抑止に影響を与える程度のものでないときをいうものと解されるところ,以下のとおり,本件違反行為をした原告の不注意以外に本件事故の原因となるべき事由はないし,仮に,原告の主張する駐車車両の存在や本件被害者の行動を本件事故の原因となるべき事由と評価する余地があるとしても,それが本件事故の未然防止及び被害の拡大の抑止に影響を与える程度のものではないことは明白であるから,本件事故は,専ら原告の不注意によって発生したものというべきである。
ア 原告は本件横断歩道の手前で停止する義務を負っていたこと
道交法38条1項後段の横断歩道等により進路の前方を横断しようとする歩行者等とは,車両等がそのまま進行するとその歩行者等の横断を妨げることとなるような横断歩行者等をいうものと解されるところ,これに該当するか否かは,当該道路の幅員,当該車両等の速度,当該歩行者の年齢,当該歩行者までの距離等を総合考慮して判断する必要がある。本件においては,本件車両から,原告進行方向から見て本件横断歩道の左側の歩道上への視界を妨げるものはなかったこと,本件被害者は,当時8歳の児童で,左,右,左の順に安全確認した後,少し走って本件横断歩道の横断を開始したこと,本件車両は,時速10km前後の速度で本件横断歩道に接近しており,本件被害者が本件横断歩道の側端付近で安全確認をしていた際,本件接触地点から3.53m以上手前の地点を走行していたものと考えられること,原告は,原告進行方向の前方に駐車されていた車両(以下「本件駐車車両」という。)との間隔に気を取られて本件被害者を見落とした状態で本件車両を進行させ,本件横断歩道上で本件被害者に本件車両を衝突させたことなどを総合考慮すれば,本件被害者が道交法38条1項後段にいう「進路の前方を横断しようとする歩行者」に該当す
ることは明らかである。したがって,原告は,道交法38条1項後段により,本件横断歩道の直前で一時停止し,かつ,本件被害者の通行を妨げない義務を負っていたものである。にもかかわらず,原告は,本件駐車車両との間隔に気を取られて本件被害者を見落とし,上記義務を怠って本件事故を惹起したのであるから,本件事故は専ら原告の不注意によって発生したものである。なお,上記のとおり,原告は本件横断歩道の直前で一時停止する義務を負っていたのであるから,原告が徐行速度で本件車両を運転していたことをもって,本件事故が専ら原告の不注意によって発生したことが否定されるものではない。
イ 本件駐車車両の存在や本件被害者の行動は本件事故の原因とはならないこと
(ア) 本件駐車車両の存在について
本件事故の捜査結果によれば,本件駐車車両は,本件横断歩道の先の前方道路上に存在していたのであるから,本件駐車車両の存在は,原告が本件横断道路上及びその直近の状況を確認することの妨げになるものではない。このことは,原告が,本件事故当日の実況見分において見通しを妨げたものはなかった旨を指示説明し,原告本人尋問においても,本件見取図の①ないし③のそれぞれの地点における見通しはよかった旨を述べていることからも明らかである。したがって,本件駐車車両の存在は,原告が本件被害者を発見する際の妨げにならなかったことが明らかであり,本件事故の原因となるべき事由には当たらない。
(イ) 本件被害者がよそ見をして走行していたことについて
原告は,本件被害者がよそ見をして走行していたことから,本件被害者にも本件事故の原因があると主張するが,本件被害者は,本件横断歩
道を横断する前に一旦停止し,左,右,左の順に安全確認した後,少し走って本件横断歩道の横断を開始したものであり,本件被害者がよそ見をしていたとの原告の主張は単なる憶測にすぎない。また,本件交差点のような交通整理が行われていない横断歩道上において,横断歩行者は極めて強い優先権を有しており,いつ横断を開始してもよいと同時に,走る方法により横断歩道を通行することも禁止されていない。特に,横断歩道の直近に10歳前後の児童がいるような場合,当該児童が車両の接近に気付かず,これに気付いたとしても危険を無視し,横断歩道上に飛び出す等不測の行動に出ることがあることは経験上明らかである。したがって,横断歩道に近づく車両の運転者としては,横断歩道を歩行者が通行しようとしている場合,当該歩行者をいち早く発見した上,当該歩行者が不測の行動に出る可能性も予想しながら,現実にその通行を妨げることになるか否かに関わらず,必ず横断歩道等の直前で一時停止しなればならない義務があるものと解され,仮に,本件被害者がよそ見をして走りながら本件横断歩道を通行していたとしても,本件被害者は横断歩道者としての強い優先権を喪失するものではなく,原告が上記義務を免れるものでもないというべきである。そして,原告が本件横断歩道の手前において左方に顔を向けるなどして横断歩行者の有無を確認していれば,原告の前方を横断しようとしている本件被害者を容易に発見できたほか,原告が本件横断歩道の直前で一時停止していれば,本件事故の発生を確実に回避することができたことも明らかであることからすると,本件事故につき,本件被害者に重大な原因があるという原告の主張は失当である。
ウ 本件被疑事件が不起訴処分とされていることについて
本件被疑事件の送致を受けた検察官は,道交法38条1項違反や施行令
別表第2の3の表にいう「専ら」性の意義について起訴,不起訴の判断をしたものではないし,運転免許取消処分等の行政処分は,道路交通上危険性を有する運転者を一定時間道路交通の場から排除して将来における道路交通の危険を防止するという公益目的の実現のため,道交法及び施行令の定める基準及び手続に則って行うものであり,国家刑罰権の行使としての刑事処分とは,その性質,目的,主体等を異にする別個独立のものであるから,行政庁は,刑事訴追の有無,刑事裁判の結果等の刑事処分の結果等に拘束されることなく,独自の立場と責任において処分理由となる事実を認定して行政処分を行うことができる。したがって,本件被疑事件が不起訴処分とされているという事情は,本件交通事故が専ら原告の不注意のみによって発生したとの処分行政庁の認定を覆すに足りる事情とはいえない。
【原告の主張】
以下のとおり,本件事故は,専ら原告の不注意によって発生したものとはいえない。
ア 原告は道交法を遵守していたこと
原告は,以下のとおり,本件事故当時,あらゆる意味で道交法を遵守していたものである。
(ア) 原告は,本件横断歩道の直前で停止することのできるような速度で進行していたこと
道交法38条1項前段は,車両等が横断歩道等に接近する場合には,当該横断歩道等を通過する際にその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車がないことが明らかな場合を除き,当該横断歩道等の直前で停止することのできるような速度で進行しなければならないと定めており,また,これを敷衍して,横断歩道に近づく車両等の運転手としては,道路左側部分を通常の速度で横断する歩行者ばかりではなく,走っ
て横断する者のあることも考慮に入れて,これに対応する速度にまで当該車両等の速度を減ずる義務があると解される。そして,原告は,実際に,本件横断歩道に侵入する際,時速10km(停止距離約2.6m)の徐行速度で進行していたものであるから,本件横断歩道を走って通行する者がいることを想定し,本件横断歩道の直前で停止することのできるような速度で進行していたものといえる。
(イ) 原告は,道交法が期待する程度に,本件横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者等がいないことを確認していたこと原告は,本件交差点の手前の地点(本件見取図①の地点。以下「本件停止位置」という。)において一時停止し,本件交差点の左右それぞれ10mないし20mの距離における歩行者及び自動車等の有無を確認した。また,本件交差点の進行中(本件見取図②③の地点)においても,前方道路の左右に存在する歩道の幅に該当する距離(左右それぞれ5m程度)における歩行者等の有無を確認した。このように,原告は,本件停止位置において,左右の相当の距離の歩行者等の有無を確認していたものであるし,本件見取図②③の地点においては,車両の進行中に左右を凝視して確認すること自体危険な行為であり,左右の歩道幅に該当する距離程度を確認すれば十分であったといえるから,原告は,本件横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者等がいないことを,道交法が期待する程度に確認していたものといえる。
(ウ) 本件被害者は,本件横断歩道により原告の進路の前方を横断しようとする歩行者等には当たらないこと被告は,本件被害者が,道交法38条1項後段の「横断歩道により進路の前方を横断しようとする歩行者」に当たり,原告は,本件横断歩道の直前で一時停止する義務があったと主張する。
しかしながら,本件停止位置から本件見取図④の地点までの距離は17.7mであり,この間,本件車両は時速10kmで走行していたこと,本件被害者は,本件事故当時,走って本件横断歩道を通行しており,本件被害者と同年齢の少年が走る速度は秒速5mであることからすると,原告が本件停止位置にいた時点で,本件被害者は本件見取図 の地点から33.5m手前の地点にいたことになる。そうすると,原告が本件停止位置にいた時点で,本件被害者が原告の進路の前方を横断しようとする歩行者に該当しなかったことは明らかである。また,本件被害者は,本件車両の左後部に衝突しており,その際に走っていたこと,原告は,衝突音がするまで,本件被害者の存在に気付いていなかったことに加え,原告は,前記(イ)のとおり,道交法の期待する程度に,本件横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者等がいないことを十分に確認していたことからすると,本件事故との関係において,本件被害者は,本件横断歩道により原告の進路の前方を横断しようとする歩行者には当たらないというべきである。したがって,原告は,道交法38条1項後段に基づき本件横断歩道の手前で一時停止する義務を負っていたものではない。
イ 本件事故の原因となるべき事由が他に存すること
(ア) 原告の進路前方には本件駐車車両が違法に駐車されていたこと原告が本件交差点に進入しようとした際,進路前方の前方道路上には,大型の貨物自動車である本件駐車車両が駐車されていたところ,前方道路は,道交法上,駐車が禁止されている上,駐車中の本件駐車車両の右側の前方道路上には3.3mの余地しかなかったものであり,本件駐車車両は,道交法上の駐車禁止規定に二重に違反していたものである。このように,多数の通勤者,通学者が横断していた本件交差点の直近に車両を駐車させることは,種々の交通事故等を惹起させかねない危険
極まりない行為であることに加え,本件見取図の②の地点から本件駐車車両の位置までの距離は約11メートルしかなかったこと,本件駐車車両は前方道路の幅員の約半分を占めていたことからすると,原告として
は,原告進行方向の前方に細心の注意を払うことは当然であり,実際に,本件事故に係る実況見分調書にも本件車両からの見通しは「前方不良」であったとの記載があることからすれば,本件駐車車両の存在も本件事故の一因であったというべきである。
(イ) 本件被害者がよそ見をして本件横断歩道を走っていたこと
本件被害者は,本件横断歩道の向かい側の歩道に立っていた兄に気を取られ,本件車両に気付くことなく,よそ見をしたまま本件横断歩道を走って通行した結果,本件車両の左後部に衝突したものであり,このことは,本件事故の原因に関する本件被害者の供述,本件事故の際の大きな衝突音,本件被害者の負った本件傷害の程度,本件被害者が徐行していた本件車両の後部に衝突したこと等からも明らかである。前記アのとおり,原告は,道交法を遵守していたものであることからすると,本件被害者がよそ見をして走っていたことも,本件事故の一因であったというべきである。
ウ 本件被疑事件は不起訴処分とされていること
自動車事故において,行政庁の処分は捜査機関から提供された資料により判断されるものであることに加え,行政処分及び刑事処分のいずれにおいても,運転者の注意義務違反の程度を最重要考慮要素とせざるを得ないことは共通していることからすれば,行政処分の判断に当たっても,判断の基礎を提供した捜査機関の判断は当然に尊重されるべきである。そして,自動車運転過失傷害罪における判断の基準は,被疑者の過失の有無,程度,被害の程度,被害弁償の有無等で判断されるところ,本件被害者の本件傷害の程度は加療6か月と決して軽微ではなく,本件被疑事件
について不起訴処分がされた時点で示談等は成立していなかったことからすると,本件被疑事件の担当検察官は,関係各証拠を検討した結果,原告に過失がないと判断したか,過失があるとしても他に原因があるため原告の過失は極めて軽微であると判断し,不起訴処分をしたものに他ならない。したがって,処分行政庁としては,本件被疑事件における検察官の判断を尊重し,本件事故は専ら原告の不注意によって発生したとはいえないと判断すべきであったというべきである。
(2) 争点(2)(本件処分は,原告の道交法上の危険性の度合いに照らして重きに失するものとして,裁量権の範囲を逸脱してされたものか。)について
【原告の主張】
道交法103条1項は,運転免許の取消処分をするに当たり,公安委員会に一定の限度で裁量を認めているものと解される。本件においては,仮に,本件事故が専ら原告の不注意によって発生したものと認められたとしても,前記(1)【原告の主張】アないしウに掲げた事情よれば,原告の運転行為は,道交法上の危険性の度合いはかなり低いといえるほか,本件被害者及び本件被害者の親権者は,本件処分の取消しを求める嘆願書を提出するなどして既に原告を許していること,原告は,体幹の機能障害により歩行が困難であるとして身体障害程度等級3級の認定を受けている妻のため,自動車を運転しなければならないことといった事情からすれば,施行令の基準どおり本件処分を行うことが,原告の運転行為の道交法上の危険性の度合いに照らして重きに失することは明らかであるから,本件処分は,処分行政庁の裁量権の範囲を明らかに逸脱したものとして違法である。
【被告の主張】
ア 運転免許取消処分等の行政処分は,原則として,道交法及び施行令の定める基準に従って行われるべきである。また,運転免許取消処分等の基礎事実となる違反行為の態様,交通事故
の被害の程度,違反行為を行うに至った動機,理由,交通事故の被害の程
度等の個別具体的な事情によっては,施行令の定める基準に従い処分を行うと,道交法の予定する趣旨と乖離したものとなる事案も存在することから,道交法は,このような事案に限って公安委員会がその裁量により処分を軽減することを許容しているものと解されるところ,運転免許取消処分を軽減する場合の裁量基準である処分量定基準によれば,一般違反行為をして施行令で定める免許取消処分の基準に該当することとなった者につき,「運転者としての危険性がより低いと評価すべき特段の事情」(以下「本
件特段の事情」という。)がある場合,施行令38条6項の欠格期間が1年に該当するときは180日の運転免許の効力を停止する処分に軽減することとされている。そして,本件特段の事情の存否の判断は,公安委員会の合理的な裁量に委ねられており,違反行為の態様,違反行為を行うに至る経緯,動機,違反者の違反の認識の有無,程度,その他の事情を総合的に考慮して判断される必要があるのであって,公安委員会の裁量権の行使がその範囲の逸脱又は濫用に当たるのは,上記裁量権の行使が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くことが明らかな場合に限られるというべきである。
イ 本件においては,原告について,本件横断歩道の左方の確認が不十分であったこと,本件駐車車両に気を取られ,本件被害者を見落とした状態で本件車両を進行させたこと,本件横断歩道の手前で一時停止することなく,そのまま本件横断歩道に進入したこと,本件被害者に約6か月の加療を要する本件傷害を負わせたことなどの事情があることから,本件特段の事情は認められず,原告に対する処分は,道交法及び施行令の定める基準どおりに行われるべきである。
前記(1)【被告の主張】で述べたとおり,原告が本件車両を徐行させていたこと,本件駐車車両の存在及び本件被害者の行動は,件特段の事情として考慮される余地はない。また,本件被疑事件が不起訴処分とされたことや,原告の妻のために自動車を運転する必要があることは,原告の運転者としての危険性を評価する上での考慮要素となるものではないし,本件被害者及び本件被害者の親権者が原告を許していることも,運転者の危険性と直接関係するものではない。したがって,原告には,本件特段の事情は認められず,本件処分が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえない。
第3 当裁判所の判断
1 認定事実
前提となる事実,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1) 本件事故当時の本件事故現場付近の状況
ア 本件交差点付近の道路の客観的な状況等
(ア) 本件交差点は,β方面と通称γ方面を結ぶ道路と,δ方面と通称ε方面を結ぶ道路とが交差する交差点である。本件交差点は,信号機による交通整理が行われておらず,δ方面と通称ε方面を結ぶ道路については,道路標識により,本件交差点に進入するに当たり一時停止すべきことが指定されている。
(イ) 本件交差点からβ方面(原告進行方向の後方)に至る後方道路は,車道の幅員9.2mで,中央線が設けられている道路であり,アスファルトによって舗装されている。
(ウ) 本件交差点から通称γ方面(原告進行方向の前方)に至る前方道路は,車道の幅員5.5mで,中央線が設けられておらず,告進行方向の逆方向への通行が禁止されている道路であり,インターロッキングで舗装されているほか,前方道路の両側には,幅員2.7mの歩道が設けられている。また,前方道路は終日駐車禁止に指定されている。

(エ) 本件横断歩道は,本件交差点の前方道路寄り出口付近に設置された横断歩道であり,その幅員は3.7mである。原告進行方向から見て本件横断歩道の左側の歩道部分には横断歩道標識が,同じく右側の歩道部分には通学路標識がそれぞれ設置されている。
(オ) 本件交差点付近の道路はいずれも平たんであった。また,本件事故当時の本件交差点付近の天候は晴天であり,本件交差点付近の道路はいずれも乾燥していた。(以上につき,前提となる事実(2)イ,甲1,乙2ないし4)
イ 本件駐車車両の存在
前方道路は,終日駐車禁止に指定されていたところ,本件事故当時,前方道路上には,原告進行方向から見て,本件横断歩道の先約0.8mの位置に,本件駐車車両が駐車されていた。本件駐車車両の右端から前方道路(車道)の左端までの距離は約2.2mであり,本件駐車車両の右側の車道部分は約3.3mであった。(甲1,13,乙2,4,原告本人)
ウ 歩行者の存在
本件事故当時は,相当数の歩行者が,通勤,通学のために本件交差点付近の歩道を歩行していた(乙4,原告本人)。
(2) 本件事故に至る経緯及び本件事故時の状況等
ア 原告は,昭和43年に運転免許を取得して以降,日常的に通勤等で自動車を運転しており,本件事故の前の約10年間は,優良運転者として運転免許証の交付を受けていた。また,原告は,本件事故当時,ほぼ毎日,東京都中央区ζ所在の住居から千葉市内の勤務先まで本件車両を運転して通勤しており,その際には本件交差点を通行していた。(甲13,乙4,原告本人)
イ 原告は,平成25年11月1日午前8時過ぎ頃,通勤のため,本件車両を運転し,後方道路を原告進行方向へ進行していたところ,前方道路の左
側部分に本件駐車車両が駐車されていることを発見したことから,本件交差点の手前付近である本件停止位置において一時停止し,本件交差点及び本件横断歩道の左右方向を目視した。これにより,原告は,本件交差点の左右から本件交差点に進入しようとする車両や,本件横断歩道を通行しようとする歩行者はいないものと判断した。原告は,本件交差点への進入を開始するに当たり,本件駐車車両の右側を通行するため,本件停止位置から本件車両のハンドルを右に切りながら発進し,本件見取図②の地点でハンドルを左に戻しつつ,本件見取図③の位置へと本件交差点を右寄りに進行した。本件交差点の通過中,原告は,主に前方の本件駐車車両の位置に注意しつつ,本件横断歩道の両側の歩道付近を見て,数名程度の歩行者はいたものの,本件横断歩道上を通行し,又は本件横断歩道上を通行しようとしている者は認識できなかったことから,本件横断歩道によって原告の進路の前方を横断し,又は横断しようとする歩行者はいないものと判断して,本件横断歩道の手前付近で一時停止することなく,本件横断歩道に進入した。なお,原告が本件交差点を通過中,原告と本件横断歩道及びその両端の歩道との間の見通しを妨げるものはなかった。(甲1,13,乙2,4,原告本人)
ウ 原告は,平成25年11月1日午前8時7分頃,本件横断歩道に進入し,本件見取図④の位置へと進行したところ,本件横断歩道の左方から右方へと前方道路を横断していた本件被害者が,本件車両の左前部バンパーから約3.0m後方の位置の左後部に接触して転倒した。本件車両と本件被害者が接触した本件接触地点(本件見取図 の地点)は,本件横断歩道の原告進行方向左端から右方に約3.2m,本件横断歩道の原告進行方向前端から後方に約1.0mの地点であった。また,本件事故発生時の本件車両の進行速度は約10kmであった。
(甲1,13,乙2,4,原告本人)
エ 原告は,本件事故の発生時,本件車両の左後部から衝突音がしたため,すぐに本件見取図⑤の位置で本件車両を停止させて降車し,本件車両の左後方を確認したところ,本件見取図 の位置で転倒していた本件被害者を発見し,このときに初めて本件被害者の存在を認識した。その後,本件被害者は救急車により病院に搬送され,本件傷害により約6か月の加療を要する旨診断された。(甲13,乙6,原告本人)
オ 本件事故現場に臨場したC巡査部長が本件事故当日に作成し,原告の署名押印のある原告の供述調書(以下「原告供述調書」という。)には,本件事故を起こした原因及び不注意な運転をしてしまった理由として,本件交差点を越えた先の本件駐車車両との間隔を気にしてしまい,前方を横断しようとする歩行者を見落としてしまった旨供述したとの記載がある。また,C巡査部長が作成した平成25年11月5日付け実況見分調書には,本件事故時の本件車両からの見通しとして,前方については「不良」,後方,右方,左方については「良」であった旨の記載がある。(甲1,乙2,
4)
(3) 本件事故に関する本件被害者の供述等
ア 本件被害者は,平成25年11月23日,入院中の病院において,C巡査部長に対し,本件事故に関して以下の内容を供述した(乙5)。
(ア) 本件被害者は,平成25年11月1日午前8時過ぎ頃,徒歩10分程度の距離にある小学校に通学するため,自宅を出発した。本件被害者には,1歳年上で同じ小学校に通う兄がいるところ,同日は,本件被害者が自宅を出発するよりも少し早く,兄が自宅を出発していた。
(イ) 本件被害者は,本件事故が発生する少し前に,左,右,左の順で安全を確認したものの,少し前を兄が歩いているのが見えたため,兄に追いつこうとして,少し走ってしまった。

(ウ) 本件被害者と衝突した自動車は,本件被害者から見て右方向から進行してきたが,その自動車のどの部分と衝突したのかは,よく覚えていない。
イ 原告代理人が平成26年7月18日付けで作成した報告書によると,E保険株式会社が,平成25年11月14日に本件被害者及び本件被害者の母からの聴取内容を記載した聴取書(以下「本件聴取書」という。)には,主に以下の内容が記載されている(甲2)。
(ア) 事故状況
小走りで横断歩道を通行しようとしたところ,横断歩道の中央において,自動車が前を通り過ぎたため,危ないと思い,上記自動車の後部扉のガラスに右手をついた。その後すぐに右足が上記自動車の後部扉に当たり,後ろに転倒した。
(イ) 事故原因について
知り合いの上級生がおり,本件被害者が走ったためである。
2 争点(1)(本件事故は専ら本件違反行為をした原告の不注意によって発生したものか。)について
(1) 「交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものである場合」の解釈
施行令別表第2の3の表における「交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものである場合」とは,当該違反行為をした者の不注意以外に交通事故の原因となるべき事由がないとき,又は他に交通事故の原因となるべき事由がある場合において,その原因が当該交通事故の未然防止及び被害の拡大に影響を与える程度のものでないときをいうものと解するのが相当である。
(2) 原告の道交法違反及び不注意の有無について
ア 道交法38条1項は,車両の運転者は,横断歩道等に接近する場合,当
該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者等がないことが明らかな場合を除き,当該横断歩道等の直前で停止することができるような速度で進行し(同項前段),この場合において,横断歩道等によりその進路の前方を横断し,又は横断しようとする歩行者等があるときは,当該横断歩道等の直前で一時停止し,かつ,その通行を妨げてはならない(同項後段)と規定しており,横断歩道に接
近する車両の運転者は,横断歩道上の歩行者を優先し,その安全を確保する義務を負うものと解される。そして,このような同項の趣旨からすると,同項の横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者とは,車両等がそのまま進行した場合,その歩行者の横断を妨げることとなるような横断歩行者をいうものと解すべきである。イ そこで検討すると,前記1(3)ア及びイの認定事実のとおり,本件被害者は,C巡査部長に対し,本件事故当時の状況について,左,右,左の順で安全を確認したものの,少し前方を兄が歩いているのが見えたため,兄に追いつこうとして,少し走ってしまった旨を供述しているほか,本件聴取書にも,知り合いの上級生がいたため,小走りで横断歩道を通行しようとした旨の記載があるところ,これらの内容に特に不合理な点や,矛盾する点は見当たらないことからすると,本件被害者は,本件横断歩道を通行する際,前方を歩行していた兄を発見したことから,少し走った状態で本件横断歩道を通行していたものと認められる。他方で,前記1(2)ウの認定事実のとおり,本件車両と本件被害者が接触した本件接触地点は,本件横断歩道の原告進行方向左端から右方に約3.2m,本件横断歩道の原告進行方向前端から後方に約1.0mの地点であり,かつ,本件被害者が接触したのは,本件車両の左前部バンパーから約3.0m後方の左後部であるから,本件横断歩道の幅員は3.7mであることを考慮すると,本件事故は,本件車両の前端が本件横断歩道への進入
20を開始してから約5.7m進行した地点で発生したものといえる。さらに,本件事故当時の本件車両の走行速度は時速約10km(秒速約2.78m)であるから,本件車両が本件横断歩道への進入を開始したのは,本件事故が発生する約2秒ないし3秒前であったものと考えられる。そして,本件被害者が小走りで本件横断歩道を通行していたこと,本件被害者の年齢,本件接触地点が本件横断歩道の原告進行方向左端から右方に3.2mの地点であったことを考慮すれば,本件被害者は,遅くとも本件車両が本件横断歩道への進入を開始した時点(本件事故の約2秒ないし3秒前の時点)においては,本件横断歩道の通行を開始していたか,本件横断歩道の左方の歩道付近において本件横断歩道の通行を開始しようとしていたものと合理的に推認することができる。この点に関し,原告は,本件被害者と同年齢の少年の走る速度は秒速約5mであると主張し,「各年齢群における測定項目の比較」と題する書面(甲14)を提出するが,同書面は,7歳から8歳の少年の50m走における最高速度が秒速約5m前後であることを示すものにすぎず,小走りの状態であった本件被害者が本件横断歩道上において秒速約5mで走っていたものとは考え難いし,他に上記推認を覆すに足りる証拠はない。そうすると,原告が本件横断歩道に接近した時点において,本件車両をそのまま進行させた場合,本件横断歩道において本件被害者の進行を妨げることになることは明らかであったというべきであるから,本件被害者は,本件横断歩道によって,原告の進路の前方を横断しようとする歩行者に該当していたものというべきであり,原告としては,道交法38条1項に基づき,本件横断歩道の直前において一時停止し,本件被害者の通行を妨げないようにする義務を負っていたものと解すべきである。
ウ そして,前記1(2)イの認定事実のとおり,原告が本件交差点を通過中,原告と本件横断歩道及びその両端の歩道との間の見通しを妨げるものはな
かったことからすると,原告としては,遅くとも本件横断歩道の直前に至った時点で本件横断歩道の左方を注視していれば,本件横断歩道の通行を開始し,又は通行しようとする本件被害者の存在を確認することが可能であり,本件車両を一時停止して本件被害者と接触することを避けることができたものといえる。しかしながら,前記1(2)イの認定事実のとおり,原告は,本件交差点を進行中,本件横断歩道の両端の歩道付近を見たものの,本件被害者を発見することができず,本件車両を一時停止させずに本件横断歩道に進入した結果,本件被害者と接触して加療6か月を要する本件傷害を負わせるに至っているところ,原告が本件被害者を発見できなかった主な要因は,本件駐車車両を避けようとし,主に本件駐車車両及びその右側の道路上付近に注意を向けていたことから,本件横断歩道の両側の歩道付近の確認が不十分であったことによるものと考えられる(原告自身,その本人尋問において,「私自身は,駐車車両がもちろんありましたから,通れる道幅が狭くなっていますから,余計にゆっくり行かないといけないということで,当然,前の方を注視して車を少しずつ進めていたわけです。」(原告本人調書7頁),「むしろ車が進んでいく進行方向を十分に注意しないと,別なところでぶつかってしまったりするわけですから,そこは注意せざるを得
ないというふうに思っております。」(原告本人調書21頁)と供述していることに加え,前記1(2)オの認定事実のとおり,原告供述調書にも,本件駐車車両との間隔を気にしてしまい,前方を横断しようとしてしまった歩行者を見落としてしまった旨の記載がある。)ことからすると,原告には,本件事故について,道交法38条1項後段の義務違反があり,かつ,このことにつき不注意があったものというべきである。
エ これに対し,原告は,本件停止位置及び本件交差点の通過中の各時点において,本件横断歩道を通行しようとする歩行者等の有無を確認していた
として,道交法が期待する程度に,本件横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者等の有無を確認したと主張する。しかしながら,前記1(2)イの認定事実のとおり,原告は,本件停止位置に一時停止した上,本件歩道を通行しようとする歩行者等の有無を確認したことが認められるものの,その時点で本件横断歩道を通行しようとする歩行者等がいなかったとしても,本件横断歩道への進入を開始するまでの間に他の歩行者等が現れる可能性は当然にあり得るのであるから,本件停止位置において歩行者等の有無を確認したからといって,道交法上の義務が尽くされたと評価することはできない。また,前記ウで説示したとおり,原告の本件交差点の進行中における安全確認は,本件駐車車両及びその右側の前方道路上に注意が向けられていた結果,不十分なものであったといわざるを得ないから,原告の上記主張は採用できない。
オ 以上によれば,原告には,本件事故の発生につき,道交法上の義務違反があり,かつ,このことにつき,不注意があったものというべきである。
(3) 本件事故の原因となるべき他の事由の存否について
ア 本件駐車車両の存在について
原告は,違法に本件駐車車両が駐車されていたことから,原告進行方向の前方に細心の注意を払うことは当然であったとして,本件駐車車両の存在も本件事故の原因であったと主張する。そこで検討すると,前記1(1)イの認定事実のとおり,本件事故当時,前方道路上には,原告進行方向から見て,本件横断歩道の先約0.8mの位置に,本件駐車車両が駐車されており,かつ,本件駐車車両の右側の車道部分には約3.3mしか余地がなかったものであるところ,前方道路は,終日駐車禁止に指定されており,かつ,道交法45条2項は,当該車両の右側の道路上に3.5m以上の余地がないこととなる場所において,車両を駐車してはならないと規定していることからすると,本件駐車車両は,
23道交法の規定に違反して駐車されていたものと認められる。しかしながら,本件駐車車両は,本件横断歩道の先の前方道路上に駐車されていたものにすぎず,これにより,本件交差点を通過中の原告と,本件横断歩道及びその両端の歩道部分との間の見通しは何ら妨げられていなかったのであるから,本件駐車車両の存在によって,原告が本件横断歩道を通行しようとする歩行者との関係において尽くすべき注意義務の内容及び程度は何ら変わるものではなく,原告としては,本件駐車車両の有無にかかわらず,本件横断歩道を通行しようとする歩行者の有無を適切に確認すべきであったというべきである。したがって,原告が本件駐車車両の位置に注意を払っていた結果,本件被害者を発見できなかったとしても,このことは単に原告の不注意として評価されるにすぎず,本件駐車車両の存在は,原告の不注意以外の本件事故の原因となるべき事由に当たるものではないというべきである。
イ 本件被害者がよそ見をして走っていたことについて
また,原告は,本件被害者がよそ見をして走っていたことも本件事故の一因であったと主張する。
前記(2)イで説示したとおり,本件被害者は,前方にいた兄に追い付くため,本件横断歩道を少し走って通行していたことが認められるほか,前記1(2)ウの認定事実のとおり,本件被害者が本件車両と接触したのは本件車両の左後部であったことからすると,本件被害者は,本件車両が目前に迫るまでその存在に気付いていなかったものといえ,本件横断歩道の通行中,本件横断歩道を横から通過しようとする本件車両の存在には注意を払っていなかったものと認められる。しかしながら,前記(2)アで説示したとおり,道交法38条1項によれば,横断歩道に接近する車両の運転者は,横断歩道上の歩行者を優先し,その安全を確保する義務を負うものと解されるところ,上記義務は,自動車運
転者にとって交通事故を防止する上で基本的なものであるということができるから,本件被害者としては,原告が上記義務を遵守することを十分に信頼することができる立場にあるものといえる。また,本件被害者は,道交法上,本件横断歩道の通行中に走ることが禁止されているわけではないし,本件横断報道を通過しようとする車両等の存在に注意を払う義務を負っているものでもないのであるから,原告としては,本件被害者が上記のような行動をとる可能性があることも踏まえた上で,本件被害者の通行を妨げないように行動する必要があったというべきである。したがって,本件被害者が本件横断歩道の通行中に走っていたことや,本件横断歩道を通過しようとする本件車両の存在に注意を払っていなかったことは,道交法上,本件被害者の不注意として評価されるべきものではなく,本件事故の原因となるべき事由には当たらないというべきである。
(4) 本件被疑事件が不起訴処分とされたことについて
原告は,処分行政庁は,本件被疑事件を不起訴処分とした検察官の判断を尊重し,本件事故は専ら原告の不注意によって発生したとはいえないと判断すべきであったと主張する。しかしながら,運転免許取消処分等の行政処分は,道路交通上危険性を有する運転者を一定期間道路交通の場から排除して将来における道路交通の危険を防止するという公益目的の実現のため,道交法及び施行令の定める基準に従ってされるものであり,実際に,道交法及び施行令においても,運転免許取消処分等の判断に当たり,刑事処分がされたか否かを考慮すべき旨を定めた規定はないことからすれば,国家刑罰権の行使としての刑事処分とは,その性質,目的,主体等を異にする別個独立のものであるというべきであるから,処分行政庁としては,刑事訴追の有無,刑事裁判の結果等の刑事処分の結果に拘束されることなく,独自に処分理由となる事実を認定し,行政処分をすることができるというべきである。
したがって,本件被疑事件が不起訴処分とされたことは,本件処分の適法性を左右するものではないというべきである。
(5) 小括
以上によれば,本件事故は,道交法38条1項後段の規定に違反した原告の不注意によって発生したものと認められ,かつ,原告の不注意の他に本件事故の原因となるべき事由は認められないから,専ら原告の不注意によって発生したものというべきである。
3 争点(2)(本件処分は,原告の道交法上の危険性の度合いに照らして重きに失するものとして,裁量権の範囲を逸脱してされたものか。)について
(1) 本件処分に係る処分行政庁の裁量権について
道交法103条1項は,公安委員会が,免許を受けた者が同項各号のいずれかに該当することとなったときに,政令で定める基準に従い,その者の免許を取り消し,又は6か月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる旨を,同条7項は,公安委員会が,同条1項各号(4号を除く。)のいずれかに該当することを理由に免許を取り消したときに,政令で定める基準に従い,1年以上5年を超えない範囲内で当該処分を受けた者が免許を受けることができない期間を指定する旨をそれぞれ定めているところ,施行令の定める基準(いわゆる点数制度)は,このような免許の取消し等の処分が相当であると認められる程度に道路交通上の危険性が高いと評価できる運転者を類型的に規定し,その危険性の度合いに応じて当該処分を行うべきことを定めたものということができる。もっとも,違反行為の態様,違反行為を行うに至る経緯,動機,違反者の違反の認識の有無,程度等の個別的事情によっては,施行令の基準どおりの処分を行うことが被処分者の道路交通上の危険性の度合いに照らして重きに失することが認められる場合もあり得ることであるから,このような場合に施行令の基準に従った処分の内容を軽減することとしても道交法103条1
26項5号及び7項に違反する措置とはいえず,この意味において,公安委員会には,運転免許の取消し等の処分をするに当たり,裁量権が認められていると解するのが相当である。
【別紙1】関係法令等の定め第3記載の処分量定基準は,一般違反行為をして施行令で定める免許取消処分の基準に該当することとなった者について,その者の運転者としての危険性がより低いと評価すべき特段の事情(本件特段の事情)がある場合,施行令38条6項の欠格期間が1年に該当するときは180日の運転免許の効力を停止する処分に軽減することができるものと定めているところ,これは,上記の公安委員会の裁量権行使の基準を行政内部において定めたものと位置付けることができるものであり,その内容は道交法及び施行令の趣旨に照らし合理的なものということができる。そして,行政手続法12条1項の趣旨に照らすと,処分行政庁が処分量定基準を恣意的に運用することは許されないのであって,処分を受ける者に本件特段の事情があるにもかかわらず,処分行政庁がこれを考慮せず,処分を軽減しなかった場合には,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用により当該処分は違法になるものというべきである。
(2) 本件特段の事情の有無について
ア 原告の道交法上の義務違反の態様等
まず,前記2(2)で説示したとおり,原告は,本件交差点を進行中,本件駐車車両の位置等に注意を向けていた結果,本件被害者を発見することができず,本件車両を一時停止させずに本件横断歩道に進入したものであるところ,原告が本件横断歩道の左方の歩道付近を注視していれば,本件横断歩道の通行を開始し,又は通行しようとする本件被害者の存在を確認することが可能であり,本件横断歩道の直前で一時停止することによって本件被害者の通行を妨げないようにすることも容易であったのであるから,原告の道交法上の義務違反,不注意の態様等をもって,原告の運転者とし
ての危険性がより低いと評価することは困難である。また,施行令別表第2の3において13点の付加点数が付されることとされているのは,治療期間が3か月以上の傷害事故のうち,当該事故が専ら違反行為をした者の不注意によって発生したという類型の事故であるところ,前記1(2)エの認定事実のとおり,本件被害者の負った本件傷害の程度は,加療約6か月を要するものであったのであり,本件事故の結果という観点からも,本件事故の危険性が,13点の付加点数が課される類型の事故の中で特に軽微なものであったとはいい難い。したがって,原告の道交法上の義務違反の態様や本件事故の結果等により,原告の運転者としての危険性がより低いと評価することはできない。イ 本件駐車車両の存在及び本件被害者の行動についてまた,原告は,原告の運転行為の道交法上の危険性の度合いが低いことを根拠付ける事情として,本件駐車車両が存在していたこと及び本件被害者がよそ見をして走っていたことを主張する。しかしながら,前記2(3)で説示したとおり,本件駐車車両の存在は,原告が本件横断歩道を通行しようとする歩行者に対して尽くすべき注意義務の内容及び程度に何らの影響を及ぼすものではないし,本件被害者が,本件車両の存在に注意を払うことなく本件横断歩道を走って通行していたことも,本件被害者の不注意として評価されるべきものではないから,本件駐車車両の存在及び本件被害者の行動を考慮しても,原告の運転者としての危険性がより低いと評価することはできない。
ウ 本件被疑事件が不起訴処分とされたことについて
原告は,本件被疑事件が不起訴処分とされたことも,原告の運転行為の道交法上の危険性の度合いがかなり低いことを根拠付ける事情として主張するが,前記2(4)で説示したとおり,運転免許取消処分等の行政処分は,国家刑罰権の行使としての刑事処分とは,その性質,目的,主体等を異に
する別個独立のものであるから,本件被疑事件が不起訴処分とされたことによっても,原告の運転者としての危険性がより低いと評価することはできない。
エ その他の事情について
原告は,本件被害者及びその親権者が原告を許していること,原告の妻は歩行が困難であり,原告において自動車を運転する必要があることといった事情から,施行令の基準どおり本件処分を行うことは,原告の運転行為の道交法上の危険性の度合いに照らして重きに失すると主張し,その陳述書(甲13)及び本人尋問においても同旨を述べるほか,本件処分の取消しを求める旨の本件被害者の保護者の嘆願書(甲3),本件被害者が原告に対して交付した塗り絵(甲5),原告の妻の身体障害者手帳(甲6)等を提出する。しかしながら,本件被害者及びその親権者が,本件事故に関して原告に被害感情を抱いていなかったとしても,このことから,当然に原告の運転者としての危険性がより低いと評価されるものではない。また,原告において自動車の運転をする必要性があるという事情も,原告の運転者としての危険性を評価する上で考慮されるべきものではない。
(3) 小活
以上によれば,原告については,本件特段の事情は認められないというべきであるから,原告に対して道交法及び施行令の基準どおりに本件処分をした処分行政庁の判断は,裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たるものではない。
4 まとめ
前記2及び3で説示したところを総合すると,本件事故は,専ら道交法38条1項後段の規定に違反した原告の不注意によって発生したものと認められ,原告の違反行為に係る累積点数は15点に達しているから,原告は,施行令別表第3の1の第6欄に掲げる点数に該当したものとして,施行令の定める免許
の取消し及び1年間の免許の欠格期間の指定の基準に該当する。そして,原告につき,運転者としての危険性がより低いと評価すべき本件特段の事情は認められないから,原告に対して本件処分をした処分行政庁の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用は認められず,本件処分は適法である。
第4 結論
よって,原告の請求には理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第2部
裁判長裁判官 増 田 稔
裁判官 齊 藤 充 洋
裁判官 池 本 拓 馬
30
【別紙1】
関 係 法 令 等 の 定 め
第1 道交法
1 38条(横断歩道等における歩行者等の優先)
(1) 1項
車両等は,横断歩道又は自転車横断帯(以下「横断歩道等」という。)に接近する場合には,当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き,当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは,その停止線の直前。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において,横断歩道等によりその進路の前方を横断し,又は横断しようとする歩行者等があるときは,当該横断歩道等の直前で一時停止し,かつ,その通行を妨げないようにしなければならない。
(2) 2項及び3項 〔省略〕
2 45条(駐車を禁止する場所)
(1) 1項
車両は,道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分〔中略〕においては,駐車してはならない。〔以下省略〕
(2) 2項
車両は,47条2項又は3項の規定により駐車する場合に当該車両の右側の道路上に3.5m(〔括弧内省略〕)以上の余地がないこととなる場所においては,駐車してはならない。〔以下省略〕
(3) 3項 〔省略〕
3 47条(停車又は駐車の方法)
31
(1) 1項 〔省略〕
(2) 2項
車両は,駐車するときは,道路の左側端に沿い,かつ,他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
(3) 3項
車両は,車道の左側端に接して路側帯(当該路側帯における停車及び駐車を禁止することを表示する道路標示によって区画されたもの及び政令で定めるものを除く。)が設けられている場所において,停車し,又は駐車するときは,前2項の規定にかかわらず,政令で定めるところにより,当該路側帯に入り,かつ,他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
4 103条(免許の取消し,停止等)
(1) 1項
免許(〔括弧内略〕)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは,その者が当該各号のいずれかに該当することとなった時におけるその者の住所地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は,政令で定める基準に従い,その者の免許を取り消し,又は6月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。〔以下省略〕
ア 1号ないし4号 〔省略〕
イ 5号
自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき(〔括弧内省略〕)。
ウ 6号ないし8号 〔省略〕
(2) 2項ないし6項 〔省略〕
(3) 7項
公安委員会は,1項各号(4号を除く。)のいずれかに該当することを理
由として同項又は第4項の規定により免許を取り消したときは,政令で定める基準に従い,1年以上5年を超えない範囲内で当該処分を受けた者が免許を受けることができない期間を指定するものとする。
(4) 8項ないし10項 〔省略〕
第2 道路交通法施行令(以下「施行令」という。)
1 33条の2
(1) 1項及び2項 〔省略〕
(2) 3項
前2項に規定する累積点数とは,これらの規定により行おうとする処分の理由となる違反行為(一般違反行為及び特定違反行為をいう。以下同じ。)及び当該違反行為をした日を起算日とする過去3年以内におけるその他の違反行為(〔括弧内略〕)のそれぞれについて別表第2に定めるところにより付した点数の合計をいう。
1号ないし7号 〔省略〕
(3) 4項 〔省略〕
2 37条の8(軽微違反行為等)
(1) 1項 〔省略〕
(2) 2項
道交法102条の2の政令で定める基準は,次のいずれにも該当することとなるものとする。
ア 1号
軽微違反行為に該当する当該一般違反行為に係る累積点数(33条の2第3項に規定する累積点数をいう。以下同じ。)が6点であること。
イ 2号ないし4号 〔省略〕
(3) 3項 〔省略〕
33
3 38条(免許の取消し又は停止及び免許の欠格期間の指定の基準)
(1) 1項ないし4項 〔省略〕
(2) 5項
免許を受けた者が道交法103条1項5号から8号までのいずれかに該当することとなった場合についての同項の政令で定める基準は,次に掲げるとおりとする。
ア 1号
次のいずれかに該当するときは,免許を取り消すものとする。
(ア) イ
一般違反行為をした場合において,当該一般違反行為に係る累積点数が,別表第3の1の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第2欄,第3欄,第4欄,第5欄又は第6欄に掲げる点数に該当したとき。
(イ) ロ 〔省略〕
イ 2号 〔省略〕
(3) 6項
道交法103条7項の政令で定める基準は,次に掲げるとおりとする。
ア 1号 〔省略〕
イ 2号
一般違反行為をしたことを理由として免許を取り消したとき(〔括弧内略〕)は,次に掲げる区分に応じ,それぞれ次に定める期間とする。
(ア) イないしニ 〔省略〕
(イ) ホ
当該一般違反行為に係る累積点数が別表第3の1の表の第1欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の第6欄に掲げる点数に該当した場合 1年
ウ 3号ないし5号 〔省略〕
(4) 7項 〔省略〕
34
4 別表第2
(1) 1 一般違反行為に付する基礎点数 〔下記部分以外省略〕
一般違反行為の種別 点数
横断歩行者等妨害等 2点
(2) 2 〔省略〕
(3) 3 違反行為に付する付加点数(交通事故の場合) 〔下記部分以外省略〕
交通事故の種別交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものである場合における点数中欄に規定する場合以外の場合における点数人の傷害に係る交通事故(他人を傷つけたものに限る。以下この表において「傷害事故」という。)のうち,当該傷害事故に係る負傷者の負傷の治療に要する期間(〔中略〕以下この表において「治療期間」という。)が3月以上であるもの
〔以下省略〕
13点 9点
(4) 備考
ア 一
違反行為に対する点数は,次に定めるところによる。

(ア) 1
1の表又は2の表の上欄に掲げる違反行為の種別に応じ,これらの表の下欄に掲げる点数とする。この場合において,同時に2以上の種別の違反行為に当たるときは,これらの違反行為の点数のうち最も高い点数(〔括弧内略〕)によるものとする。
(イ) 2
当該違反行為をし,よって交通事故を起こした場合(〔括弧内略〕)には,次に定めるところによる。
a (イ)
1による点数に,3の表の区分に応じ同表の中欄又は下欄に掲げる点数を加えた点数とする。〔以下省略〕
b (ロ) 〔省略〕
(ウ) 3 〔省略〕
イ 二
1の表及び2の表の上欄に掲げる用語の意味は,それぞれ次に定めるところによる。
(ア) 1ないし39 〔省略〕
(イ) 40
「横断歩行者等妨害等」とは,道交法38条又は38条の2の規定の違反となるような行為をいう。
(ウ) 41ないし126 〔省略〕
5 別表第3
(1) 1 〔下記部分以外省略〕
一般違反行為をしたことを理由として処分を行おうとする場合における当該一般違反行為に係る累積点数の区分第1欄 第2欄ないし第5欄 第6欄 第7欄

前歴がない者 〔省略〕 15点から24点まで 〔省略〕
(2) 2 〔省略〕
(3) 備考
ア 一
1の表及び2の表に規定する前歴とは,累積点数に係る当該違反行為をした日を起算とする過去3年以内において次の1から4までのいずれかに該当したことをいう。〔以下省略〕
イ 二 〔省略〕
第3 運転免許の効力の停止等の処分量定基準(乙8。平成21年4月30日付け警察庁丙運発第11号。以下「処分量定基準」という。)
1 第1 運転免許の効力の停止等の処分量定基準 〔省略〕
2 第2 処分の軽減及び処分の猶予
(1) 1 取消し等の処分の軽減
一般違反行為をしたことを理由として処分を行おうとする場合に累積点数が施行令別表第3の1の表の第1欄に掲げる区分に応じ同表の第2欄から第6欄までに掲げる点数に達し,〔中略〕免許の取消し,免許の拒否又は1年以上10年を超えない範囲内の期間の自動車等の運転の禁止の処分基準に該当することとなった者において,その者の運転者としての危険性がより低いと評価すべき特段の事情があるときは,それぞれ次の区分により処分を軽減することができるものとする。
ア (1) 免許の取消し(免許を与えた後における免許の取消しを除く。)の処分基準に該当する者
一般違反行為をしたことを理由として処分を行う場合で,施行令38条6項の規定により,免許を受けることのできない期間(以下「欠格期間」
という。)が5年,4年,3年又は2年に該当するときは,当該期間から1年を減じた期間に軽減し,当該期間が1年に該当するときは,180日の免許の効力の停止に軽減する。〔以下省略〕
イ (2)及び(3) 〔省略〕
(2) 2 停止等の処分の軽減及び猶予 〔省略〕
3 第3 停止等の処分の期間の短縮 〔省略〕



ページの先頭へ戻る